これから、数学における「真理値表」と「論理和」「論理積」について解説していきます。
ここから少し、数学っぽくなってきます。
真理値表(しんりちひょう)
まず登場するのが「真理値表」。
これは、命題の真(True/1)と偽(False/0)のすべての組み合わせを一覧にした表です。
たとえば、何か命題が1つあるとして、それをPと表記します。
命題は英語でPropositionなので、その頭文字Pを選んでます
すると、命題は真か偽かのどちらかになります。
それを真理値表に記載すると、このようになります。
| Pの真理値表 |
|---|
| 真 |
| 偽 |
このような表が真理値表と言います。
これは命題が1つだけなのでシンプルですが、命題が2つ以上を考えるほどに、この真理値表の威力が実感できていきます。
例えば、命題Pと命題Qが存在するとします。
すると、真理値表はこのようになります。
| P | Q |
|---|---|
| 真 | 真 |
| 真 | 偽 |
| 偽 | 真 |
| 偽 | 偽 |
これが、PとQのすべての真理値パターンです。
上から順番に、「Pが真、Qが真」「Pが真、Qが偽」「Pが偽、Qが真」「Pが偽、Qが偽」の4パターンがありますね。
そして、この命題PとQの関係性を表すのが、論理和(または)、論理積(かつ)です。
この論理的な関係を追加していくことで、複雑な命題の構造を整理することができるのです。
これから、2つの論理の関係性を解説していきます。
論理和(ろんりわ)
命題P、Qに対して、新しい命題「P ∨Q」を取り入れます。
これを論理和と言います。
論理和は、英語で “OR”、記号は「∨」を使います。
読み方は「PまたはQ」。
「Pが真である」または「Qが真である」とき、命題「P ∨Q」が真になるというルールです。
命題「P ∨Q」の真理値表
| P | Q | P ∨ Q |
|---|---|---|
| 真 | 真 | 真 |
| 真 | 偽 | 真 |
| 偽 | 真 | 真 |
| 偽 | 偽 | 偽 |
どちらか一方でも真なら、全体が真になります。
論理和の具体例
たとえば、こんな命題を考えてみましょう。(厳密じゃないけど許して)
- P:「今日は晴れだ」
- Q:「洗濯をする」
命題「P ∨ Q」は「今日は晴れ または 洗濯をする」。
どちらか一方でも成り立てば、全体が真になるわけです。
つまり、仮に、今日は晴れていても、洗濯をしなかった場合は真となりますし、今日は雨でも、洗濯したならこれも真になります。
ただし、今日は雨で洗濯しなかった場合は偽の命題となります。
論理積(ろんりせき)とは?
命題P、Qに対して、新しい命題「P ∧Q」を取り入れます。
これを論理積と言います。
英語では “ AND”。
記号は「∧」を使います。
読み方は「PかつQ」。
「Pが真であり、Qも真である」場合に命題「P ∧Q」は真になります。
命題「P ∧Q」の真理値表
| P | Q | P ∧ Q |
|---|---|---|
| 真 | 真 | 真 |
| 真 | 偽 | 偽 |
| 偽 | 真 | 偽 |
| 偽 | 偽 | 偽 |
両方が真のときだけ真。論理積は論理和に比べて“厳しめの条件”ですね。
論理積の具体例
さきほどと同じように例を見てみましょう。
- P:「今日は晴れだ」
- Q:「洗濯をする」
命題「P ∧ Q」は「今日は晴れ かつ 洗濯をする」。
このとき、晴れていなかったり、洗濯をしていなければ偽となります。
論理和と論理積の違いをまとめよう
| 種類 | 記号 | 読み方 | 成り立つ条件 |
|---|---|---|---|
| 論理和 | ∨ | または | どちらかが真でOK |
| 論理積 | ∧ | かつ | 両方とも真のときだけ真 |
イメージで言うと、
- 論理和(∨):ゆるい。「どっちかでOK」
- 論理積(∧):きびしい。「両方満たさないとダメ」
という感じです。
なぜ真理値表を使うのか?
ここまで読むと「表にする意味ある?」と思うかもしれません。
でも、この真理値表こそが、数学の論理構造を整理する最強ツールなんです。
たとえば、
- 命題どうしの関係(含意・同値)を正確に検証できる
- 証明で“抜け”を防ぐことができる
- コンピュータの回路設計やプログラムの条件分岐にも使われる
など、応用範囲はめちゃくちゃ広いです。
余談ですが、不等号「X≦Y」は、「X <Y」または「X=Y」の論理和です。
一方「X <Y」は、「X≦Y」かつ「X≠Y」の論理積です。
まとめ
| 用語 | 記号 | 意味 | 成り立つ条件 |
|---|---|---|---|
| 真理値表 | 特になし | 命題の真偽を整理する表 | 論理構造の確認に使う |
| 論理和 | ∨ | 「PまたはQ」 | どちらかが真なら真 |
| 論理積 | ∧ | 「PかつQ」 | 両方が真のときだけ真 |
真理値表・論理和・論理積がわかると、
数学でよく登場する「否定」や「含意(→)」、また「同値(↔)」が一気に理解しやすくなります。
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